+++ 夏こそ徳利? +++
徳利イコール冬のお燗用と思われいる方が多いことと存じます。そこで、「夏こそ徳利!」と声を大に提案させて頂きます。
何年も前の夏のことですが、私はある作家さんのご自宅で、キンキンに冷えた徳利から冷酒をいただいたことがございました。「閑さや岩にしみ入る蝉の声」冷えた徳利は汗をかき、やがて全体がジワジワと濡れて地肌にしみ入る姿はなんとも艶かしくカラカラの喉に早く呑みたい衝動といつまでも眺めていたい衝動とが交差する中で、スッと口に含んだ瞬間の静寂の時を今も覚えております。なんだか俳句をこじつけたような瞬間的思考のもと書き出してしまいましたが(笑)。。
最近は大手酒造会社もワイングラスで大吟醸とかCMされてますが、やはり私くしは日本人なら徳利とぐい呑でやらなあかんでしょ〜と小言を申し上げさせて頂きます。戦略上、味覚上、立場上いろいろあることは承知しておりますが。。
備前の代名詞は徳利、花入、これ一生暗記!ですが、その徳利、使うのが面倒くさい、四合瓶の登場等により、急速に片口等へその人気が奪われつつございます。
でも、やはり徳利には徳利の佇まいがあります。
やきもの好きは、手(両手)のなかで作品を何度も何度もまわし、いつになったら止まるのかと思うほどに(笑)、グルグルグルグルと。たくさん触れることは=愛でることなのです。これは片口の形状ではなかなかしずらいものがございます。また四合瓶直では、素っ気ないですね。
ではここで、夏に徳利を大活躍的再発見させるための簡単な方法を紹介させて頂きます。
なんでも構いませんが、コルクのようなものを少し削ったりし、徳利の口の大きさに合わせギュッと栓をして冷蔵庫へ。コルクなんぞ面倒だ!タイプの方は、ティッシュを丸めたものをサランラップで覆いギュッと輪ゴムで閉じる(てるてる坊主)作戦もございます。
面倒な理由一番かもしれないのが、一升瓶や四合瓶から徳利に移す手間ですが、器具(漏斗)を使えば数秒です。
日常使う頻度も高くなり、徳利が育つスピードも早まります。
冷蔵庫に徳利を入れるのが怖い、または臭いが気になる等、デリケートな方は、氷水作戦で、あっという間にキンキンになります。備前は熱伝導率が高いので、その利点を活かせます。
備前は濡れてこそ、その美しさを発揮します。ジワジワ汗をかく徳利、または氷水の中の徳利、その艶やかな生き生きとした作品を是非楽しんで頂きたいです。
使い終わりましたら、よく濯ぎ、よく内側を乾かすこともお忘れなく。
ほんの少しの手間を面倒と思うか、楽しむかで、大きく生活の豊かさは変わります。今ではお得意様はじめ、多くの方がこのような方法で冷酒を楽しまれておりますので、紹介させて頂きました。