ご来店されると、壊れたレコードのように同じことでも熱心に何時間も語られた団塊世代のお客様達
今となっては懐かしく寂しく感じるほどです
よくご存知で、私もいろいろと教わりました
私はだいぶ前(10年以上)より気がつき、指摘していることがございます
2020年現在で65歳以上ぐらいの方と比べて、それ以下の年齢の方々との間に
一体何があったのかと思うほど、世代間のギャップのようなものを感じます
明らかに何かがあり、生活のスタイルや価値観が変わったと
例えば、畳や襖、障子といったようなものがある空間が当たり前の世代
フローリングに西洋の家具といった世代
私はどちらも好きですので、どちらが良いとか悪いとかを比べる気はございませんが
それに連動するかのごとく、自国の伝統的なものに目がいかなくなってしまったことは間違い無いでしょう
(建具でもなんでも、見せ方やデザイン一つで和モダンの美を追求することは、個人的に興味があり、大好きな世界です。。続きは次回にでも)
その大きな流れとともに生活スタイルも変わり、気がつくとあっという間に数十年が経過したのかもしれません
様々な面で激変した数十年とも言えますし、日本は失われた20年とも30年とも言われます
少子化が物語りますように、全体数が減少してますので、社会問題なわけですが
伝統工芸、陶芸の世界にもその影響は大きく、団塊の世代から次の世代=本来ならば現在の55歳〜65歳ぐらいの方々にしっかり受け継がれていて欲しかった価値観が、ぽっかりと抜け落ちてしまったのかもしれません
熱心な方が激減してしまったと言わざるを得ない状況です
私はどの分野でも作り手、売り手、買い手の三方、現在の50歳代の方々にかかっていると思います
一方、欧米を中心に海外のお客様にはご好評いただいており、この激減分を穴埋めしてくださっております
日本人が見失ってしまった自国の文化的なものへの価値観 = 国内空洞化の危機(工芸全般)
西洋ナイズされた生活の影響は否定できませんが、それだけではないようです
アメリカのお得意様やフランスのお得意様とこの話をしますと、どの国も共通のようで、やはり興味が「人が作ったリアルなもの」でないところへ行ってしまったのが最たる理由のようです
私は比較的若い方がご来店された場合に、必ず聞くようにしていることがございます
「どうしてやきものが好きになりましたか?」または「興味をもつきっかけはなんでしたか?」
ほぼ全ての方が同じ答えをされます(多い順)
「幼い頃より家庭の中にあったので」「両親が好きだったので」「幼い頃に窯元を見に行って」「幼い頃に展覧会に行って」
私もそうです
私の両親も好きで、家庭の中にあったからです
そんな高価なものではないですが、両親が楽しんで使っていたことをよく覚えています
また、祖父の趣味が油絵でしたので、家の中には祖父の描いた画や父が描いたわけのわからない抽象画が壁にかかってました
幼いので当時は全く興味もなかったですし、我が家は少し頭が変なのではと思ってました 笑
幼い頃に「無意識の内に触れていたもの」
これがいかに大切で重要か
これが答えです
大人になってから自然と発芽してくるのです
不思議なものでして、そのような自発的な方ほど深く探求される傾向があると思います
これがこれからの日本にとって
心豊かな日本を保つためにも
イマジネーション力を養い、イノベーション、国際競争に負けないためにも(ご存知のように欧米では子供の頃より美術館で授業を受け、家庭の中に画などの芸術作品が比較的多い。また米アップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏は古信楽の壺に興味があった等)
教育者をはじめ、親御さんにも心がけて取り組んでいただきたいことです
備前焼は芸術性と日本人独特の美意識を兼ね備えたやきものであり、生活の中で使うことができるものであります
(写真は木の皮の表面)